材料分野におけるインフォマティクスとは、機械学習やベイズ推定などの情報工学的な技術を駆使して、より効率的に新材料を開発しようという分野です。
材料分野におけるインフォマティクスは、近年の人工知能の発展により盛り上がりを見せており、筆者のような企業内で化学系の設計開発を行っている実験化学系の人間にも、その話は聞こえてきます。
しかし、材料分野におけるインフォマティクスは、 マテリアルズインフォマティクス(無機系)、プロセスインフォマティクス(化学工学系) 、 ケモインフォマティクス(有機化学系)、バイオインフォマティクス、創薬インフォマティクスなどが存在しており、初学者(筆者)には全体感が把握し難いものでした。
そこで今回は、 実験系化学者が自身の分野に近いインフォマティクスについて把握しやすくするため、材料分野の各インフォマティクスに詳しいサイト/書籍をまとめました。
はじめに
本まとめでは、無機有機などの分野ごとに区分していますが、重複する部分もあるため(特にケモと創薬)、独断で区分けさせていただいています。
マテリアルズインフォマティクス(無機系)
入門書籍
NECでスピン熱電材料開発などへのインフォマティクスの活用をされている岩崎氏の書籍です。
マテリアルズインフォマティクスの概要と、機械学習の手法の基礎から、近年の実例(電池材料、合金など)などが記載されています。また、企業で実施する際の実務上での注意点も少し記載されており、企業内でインフォマティクスに取り組もうとされている方には有用かもしれません。

マテリアルズ・インフォマティクス-材料開発のための機械学習超入門-
ケモ・プロセスインフォマティクス(有機・化学工学系)
入門書籍
明治大学の金子先生の書籍です。
インフォマティクスの概要と、機械学習の手法の基礎から、 低分子・樹脂の物性予測、分子設計や工場でのソフトセンサーなどに関する基礎的な適用例が記載されています。機械学習の数理的なところが充実しており、webからpython(プログラミング言語)のコードが使用可能となっており、実務者への入門書という面が強いです。

情報サイト1
pythonを使用した分子の取り扱いや可視化・機械学習など、ケモインフォマティクスで行う一連の内容について、初学者が習得しやすいように基礎から丁寧に説明されています。

情報サイト2
相溶性の指標であるハンセン溶解度パラメータを予測するソフトの開発などをされている山本氏のHPです。
機械学習を使用した物性推算などについて多くの情報が記載されています。
MAGICIAN (MAterials Genome/Informatics ChemoInformatics Activate Networks)養成講座として、いくつかの資料も公開されています。
情報サイト3
上記書籍の著者である金子先生のHPです。実用上の技術的情報や、最新の論文の紹介が高頻度な更新で紹介されています。

バイオ・創薬インフォマティクス
情報サイト1
RDKitというケモ・バイオ・創薬インフォマティクス系でよく使用されているパッケージについて、詳細な情報が記載されています。

情報サイト2
色々な方がIT創薬について記載した記事のリンクが記載されています。

以上が、材料分野におけるインフォマティクスについて詳しいサイトや書籍のまとめとなります。
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